「路上にて」 小説版
ついこの間、君の事を抱き締めた時に僕は思った・・・
僕たちの中に「絶対なくなってはいけない何か」が、
もう きっと壊れてしまっているんだと・・・
以前の君は、あれほど深く 僕の事を愛してくれていたというのに
僕が「ねえ、その手を少し貸してみてよ。」って言った時、
君の手には もう以前のその温もりが無くなってしまっていた事に気付いた。
華やかな街の一角の暗闇の中で 君と向かい合わせていた時、
君は僕の目を見ようともしなかった・・・
なんだかあの時、全部がわかった気がして、そのまま時間が過ぎてゆくのに
耐えられなくなって 僕はその場を後にする事にした・・・。
急な通り雨が、僕を追うように降りだしてきた・・・。
いっその事、君を愛する事も 信じる事も やめて
自分の生きてゆく「その次の生き方」を決めなければ・・・って
そう思いながら 人混みをかき分けて、かき分けて 歩いていたんだけど
自分の手の中から消えた「君」という存在を
「ただ憎らしい」と思ってしまうには あまりにも「悲し過ぎて」・・・
僕は、これ以上無いってくらい肩を落として
そのまま栄の街を歩き続けていたんだ。
今となっては、本当に 悲しい事なのだけど
最後の最後には「たぶん僕は君だけを愛していたんだ。」と思う。
本当の本当のところで、「せめて君だけは失いたくない。」
と思っていた。 いつものあの交差点に差し掛かった時
「はっ」と気づいて
「まだすべてが終わってしまうほど遅くはないかもしれない・・・。」
って・・・このままじゃ後悔するだろう・・・って
たった今、気付いたようなふりで・・・
(本当はもうとっくにそんなこと気付いていたのに)
元、来た道を振り返った時には
もう君の姿はその場所にはいなくなっていた・・・。
これまでの間、君を愛した事も、信じてきた事も
もう全て忘れてしまって
自分が「ならなくちゃいけない自分」の
ちゃんとした「次の生き方」を
見つめないと・・・と 思いながら
・・・でもそんなこと 本当に今の僕にできるのか・・・
一体、どこからやり直せばいいんだ・・・?
・・・そういう思いが首をもたげてきて動けなくなりそうだった。
それでも
なんとかして 人混みをかき分けて、かき分けて
いこうとしてみた・・・努めてはみたんだ・・・。でも
今まで君と一緒にいた事を
ただ「悲しい出来事だった・・・。」と決めつけてしまうには
あまりにも「苦し過ぎて」
僕は、これ以上無いってくらい肩を落として
そのまま栄の街を歩き続けていたんだ。
とっても今さらな話だけど、本当は
「君を愛した・・・。」という事も 君が信じるべき
「僕」という存在さえも 全て 無くなってしまったという事に
僕は気付いていた。
それは 本当に悲しい事だし
本当に辛い現実だった・・・
次って一体なんなんだろう?
次っていうのがあるのだろうか?
それが見つかったとして
その次は、どうしたらいいんだろう?
君を失って 「それからの次」っていうものに 意味なんかあるんだろうか?
これからの自分を見つめるって一体どういう事なのだろう?
見つめるどころか こんなに全てが見えなくなってしまっていて
見つめるものさえも 見つかりそうに無いのに
それでも生きてゆく・・・という選択をしなくちゃならないのだろうか?
・・・と繰り返し答えの出ない事を考え続けていた。
君も多分わかっている事だと思う・・・。
君を無くしてしまうとという事は言葉に出来ないほど「苦しい出来事」で
でもそれ以上にまだ君の事を「愛しくて仕方ない・・・。」
と思う心を引きずったまま
僕はこれ以上無いってくらい肩を落として
そのまま栄の街を歩き続けていたんだ。
君を愛した事も信じた事・・・。
信じる事がなかったら 愛する事もなかったし
愛する事も無かったら 信じる事さえも最初から無かったはず・・・
だから 今は もうその過去も現在も 全部をひとつにして
僕自身が僕自身の何もかもを 一からやりなおして
(たとえ今は途方もない出来事で 何一つ出来る気はしなくても)
どうにかして
「それだけを見つめることにしよう・・・。」
と決意しながら僕は歩き続けた。
君を想った出来事も 君との間にあったすべても
全部をこれからを生きるための
愛しむべき思い出にして生きてゆこう・・・と 微かに決意しながらも
この心の中にやってくる
恐ろしいほどの痛みに
「路上にて」 通常歌詞版
1. 掻き抱くその腕は力を失い
差し出したその手に もはや 温もりは無く
見つめ合うことも無く 人混みに紛れて
振り向いて歩き出した街に 通り雨
愛することも 信じることも もうやめて・・・
次を・・・その次を見つめようと歩いてた
憎しむには 余りある悲しみに
打拉がれて 僕は栄の街を歩く
2. 悲しいかな君だけを僕は愛してた
差し掛かった交差点 いいやまだ遅くは無い
後悔だと気付く前に・・・ そう とっくに気付いてた
振り向いた時に もう君はそこにはいない
愛したことも 信じた事も もう忘れて・・・
次を・・・その次を見つめようと歩いてた
悲しむには 余りある苦しみに
打拉がれて 僕は栄の街を歩く
愛したことも 信じる事 もう全て
次を その次を 見つめようと歩いてた
苦しむには 余りある愛しさに
打拉がれて 僕は栄の街を歩く
愛したことも信じた事 もうすべて・・・
次を・・・その次を・・・見つめようと歩いてた
愛しむには 余りある痛みの中
打拉がれて 僕は栄の街を歩く
「私は見ていた」
※ 強い風が頬を伝う 涙を払い
私は見慣れた駅を たった今 後にする
1.二人が出会ったあの頃に 揃えた部屋の中のひとつひとつ
「心残り」は思い出のスーツケースに詰め込んでゆくの
「誰かの為に?」 「それとも自分の為に?」
愛し愛された 今日を 昨日を そして明日さえも捨てて
夕暮れの栄の人の流れに ボンヤリと流されていると
なんだか知らないうちに やっぱり ”いつものここ”に たどりついていた
2.どんなにしても取り戻すことは出来はしない
二年と六ヶ月を今日ここに捨てて行く
ホームを歩いて夕陽を見ると 涙はこぼれ
私は見慣れた時刻票に
何故だか懐かしさを覚えて抱きすがり嗚咽た
「もうあなたとは明日を生きられない・・・。」と思った私
そうして今日からはたった独り 思い出だけを胸に生きて行きます
夕暮れの栄の街は 今日も優しく私を包み
そして やっぱり知らないうちに 涙が溢れてきて止まらない
「誰かの為に。」 「それとも自分の為に。」
愛し愛された 今日を 昨日を そして明日さえも捨てて
※ 強い風が頬を伝う 涙を払い
私は見慣れた駅を たった今 後にする
いつまでも見ていた 小さくなってゆく駅を見てた
ずっと見ていた 遠ざかってゆく駅を見てた・・・
※「私は見ていた」には ここでは発表していない
詳細歌詞が存在します。