「恋々の月」 (れんれんのつき) 小説版





1.貴方が帰ってくるかもしれない・・・と思って窓辺に立って
貴方の事を待っていると
知らないうちに時間が過ぎてゆくわ・・・

どうやら今夜は雪になるのかな・・・。

ついさっきまで激しく窓を叩いていた雨が少しずつ形を変えて
霙混じりになってきた・・・。
まるでこの部屋の中に私を凍らせながら閉じ込めてゆくみたい・・・。
ちょっと怖いな・・・

今、窓から下の景色を見下ろしているんだけど
回り全体が濡れていた感じからどんどん白っぽくなってきたから
この霙もやっぱりこれから雪に変わるんだと思う・・・。
だんだん周囲の音が耳をふさいだみたいに変な風に静かになってきたよ。

なんだか 貴方の名前を呼んでみたいんだけど
私の声で呼んだりすると貴方に届かないかなぁ
・・・なんて思って
頭の中にある 他の人の呼び声で
貴方の名前を心の中で繰り返してみたんだ・・・。

そしたら
私の頭の中にあるあなたの声が私の事呼んだよ
それから、それから
その貴方が私に向かって微笑んだんだ
(あれ? あの微笑みって私に笑いかけた記憶だったっけ?
そうじゃなかったっけ?・・・違ったのかもしれないな・・・。)

すごく温かい笑顔だったなぁ
 
私にだったらいいのになぁ そうじゃなかったのかなぁ?
私が勝手にそう思ってただけなのかなぁ・・・。

貴方に会いたくて会いたくて 仕方ナイヨウ・・・
会いたくて会いたくて なんだか会いたくて、仕方ナイヨウ・・・。

恋しくて恋しくて、このまま消えちゃうかもしれない
体が粉々に壊れちゃったり、きっと溶けちゃったりするのかも・・・
やっぱりそんなの怖いな・・・


こんな感じの怖い事ってなんだか昔あったような気がする・・・

そうだ!
こんな時はお母さんに教えてもらった数え唄を歌えばいいんだ!!
えと・・・なんだっけ なんだっけ・・・

えと・・・

・・・そうそうこんな感じ・・・
うん こんな感じたったぞ・・・。

そうそう この調子・・・

貴方が帰ってくるまで歌ってまってよぉ
うん・・・きっと帰ってくるから
待ってるんだ・・・。

 





2.貴方の事 待って待って、待ちくたびれて
見上げた窓辺の月は

「恋々の月」

貴方を恋しい気持ちが時々私の心を照らすように
雲の間から顔を出したり翳ったり・・・

光が差し込む時は晴れやかな気持ちになれるけど
月が雲に隠れてしまうと
途端に苦しみがやってくる。

陰らなかったらいいのに・・・なんだか
やだなぁ・・・

・・・。

そのまま月をずっと眺めていたら
結局、月が雪雲に覆われて

その瞬間。

ほらほら
あの時の あの感じがやってきたよ

だんだん外が冷たくなって
なんにも聞こえなくなってきて
静か過ぎて耳鳴りがしてくるあの感じ・・・

そうそう・・・雪がしんしんと降り積もって
あの・・・耳じゃ聞こえない音が頭の奥を
「ざーーーーーー」って過ぎていく感じ・・・

最後に聴いたのっていつだっけ?

なんだかすごい久しぶり・・・
いつもだったら周りで必ず何かの音がしてるから
そんなことまったく気付かないのに
音がしない時にしか聞こえない音・・・なんて

・・・貴方が教えてくれたんだけど
ほんとに 不思議だね・・・。

・・・あれ?

雲が途切れた・・・。

光がもどってきたらあの音もどっかいっちゃったよ

   ・・・ ?   

どっか行っちゃったんじゃないね・・・。 さっきまで遠ざかってた音が
また聞こえてきたんだ・・・。
全然逆だった・・・。 


月に照らされて
周囲が明るくなったら また気持ちが変わった感じがするよ

待ってても仕方ないや・・・やめちゃおっかな・・・
なんて思ってた私の心の中に

どんどん優しい貴方が溢れてくる

ねえねえ 今私 貴方の事こんなに想ってるよ

私のこの声ってば貴方に聞こえてる?

あれ?
やっぱり変なの・・・
さっきまで諦めちゃおっかな・・・なんて考えてたのに
やっぱり貴方に問いかけちゃう・・・


人恋しくて 人恋しくて 仕方ナイヨウ・・・
でも本当は誰かに会いたいんじゃなくて
私は貴方にだけ、会いたいんだ・・・

誰かがいれば埋まる寂しさじゃないんだよ

絶対、絶対、貴方じゃなきゃ駄目なんだ・・・

わかってるんだけどな・・・私・・・。

  ? ・・・

やっぱり また貴方の声がした・・・
やっぱり 貴方の微笑みも思い出したよ・・・

私の頭の中にある あなたの声が
やっぱり、やっばり 私の事呼んだんだ・・・。
それから、それから
やっぱり そんでもって
貴方が私に向かって微笑んだんだ

あれって やっぱり私に笑いかけたんだ・・・
きっと、きっと そうだよ・・・。

すごく温かい笑顔だなぁ
 
やっぱり私にだったんだなぁ・・・

なんだか とってもいい感じだなぁ

やっぱり私・・・貴方の事 好きだなぁ

とっても とっても・・・






貴方に 会いたくて、会いたくて 仕方ナイヨウ・・・
会いたくて 会いたくて なんだか会いたくて 仕方ナイヨウ・・・。

なんだか私・・・負けちゃいそうだよ

私の周りの色んな出来事に・・・私の中のいろんな出来事に・・・

早く 帰ってきて欲しいな・・・
早く 早く 帰ってきてほしいな・・・

はやく 貴方・・・。 帰ってこないかなぁ

こんなにわたし 待ってるのになぁ

早く、早く、来ないかなぁ

こんなに私、いい子にしてるのになぁ

・・・。

貴方が帰ってくるまで
やっぱり歌って待ってる事にするよ

だって だって、貴方が
「待ってなよ。」って言ったんだもの・・・

一から十まで数えて
百から千になっても、歌ってるのにな・・・

早く 帰ってこないかなぁ・・・

・・・。



どうやら今夜は、雪になるみたい・・・。
ついさっきまで窓を叩いていた雨が
ひっそりと、ゆっくりと、霙になって・・・ 
それがどんどん凍てついて・・・
ほんのさっき・・・から雪に変わったみたいだよ・・・。

貴方ってば 今 どこにいるのかなぁ

ねえ・・・

なんだかちょっと怖いな・・・


霙混じりの雪が・・・
まるで 私の、貴方への想いを
この部屋の中に閉じ込めてゆくみたい・・・。

「恋々の月」 (れんれんのつき)

作詞・曲 旁月 今日人
制作 1992〜1993年頃 自宅にて
                








窓を叩く雨が静かに雪になる
霙が凍てついて想いを閉じ込める



草木は白く埋もれ
音は沈んでゆく






誰かが呼んでいたその名を問いかけ


ああ 貴方の声 

豊かな微笑み



知らず知らずのうちに
引き込まれてく



人恋しさに負けそうな夜は











思い出せない数え唄を



迷い 途切れ 歌いながら





ただ貴方が帰るその時まで














恋々の月が雲に陰り
























音が深く過ぎる













止み間に漏れてゆく

光の囁き




窓は白く凍り 音が戻ってくる









閉ざしたこの胸に貴方が溢れてく



ああ 私の声 あなたに聞こえる?




知らず知らずのうちに問いかけてしまう














ああ 貴方の声 
豊かな微笑み



知らず知らずのうちに
引き込まれてく




















人恋しさに負けそうな夜は




















思い出せない数え唄を





迷い 途切れ 歌いながら


ただあなたが帰るその時まで





窓をたたく雨が静かに雪になる
霙がいてついて












想いを閉じ込める

「君がいないなら」

作品集 発表済み作品


随分前から二人は話し合ったのだけれど
君に「おいで。」と言えなくて 僕は迷っていたんだよ
昨日君に愛を告げたよ だのに 君は知らんぷり
窓辺に一人僕はもたれて 考えていたのさ 日暮れまで
   水族館でクルクル周遊る イルカか何かの様に回游る
   部屋の中で僕は君の周囲りをグルグル周回りながら
答えの出せない僕に 君が愛想を尽かしたと
君の親友のミーコが心配そうに僕に告げる

   ネオンサイン クルクル回転る 花火か何かの様に廻転る
   部屋の中の君は 僕の頭を グルグル公転りながら

窓を叩く雨が 静かに雪に 雪になってく
霙が冰ってゆく間に 君を思い出す

このまま時が流れてゆけば
僕は心まで氷結りついて 帰らない君を待ちながら

君に会えないでいるだけで この心はこんなにも苦しいけど 
こんな痛みは もう もう どこかに捨ててきたはずなのに

   水族館でクルクル回転る イルカか何かの様に捻転る
   部屋の中に君はいなくて グルグル不復廻った思い出ばかり























窓を叩く雨が 静かに・・・ 雪に・・・ 雪に・・・なってく
霙が凍ってゆく間に 君を思い出す
 このまま時が流れてゆけば
僕は『心まで凝結りついて帰らない君』を待ちながら

君に会えないでいるだけで この心はこんなにも苦しいけど 
こんな痛みは もう もう どこかに捨ててきたはずなのに

どんなに愛を打ち明けても 君がここにいないなら
どんなに愛を打ち明けようとしても 君がいないなら


※「君がいないなら」にはここで発表していない
 別小説版もあります。


「恋々の月」 (れんれんのつき)

          作詞・曲 旁月 今日人
   制作 1992〜1993年頃 自宅にて
                

窓を叩く雨が静かに雪になる
霙が凍てついて想いを閉じ込める

草木は白く埋もれ音は沈んでゆく
誰かが呼んでいたその名を問いかけ

ああ 貴方の声 豊かな微笑み
知らず知らずのうちに
引き込まれてく

人恋しさに負けそうな夜は
思い出せない数え唄を
迷い 途切れ 歌いながら
ただ貴方が帰るその時まで


恋々の月が雲に陰り音が深く過ぎる
止み間に漏れてゆく 光の囁き
窓は白く凍り 音が戻ってくる
閉ざしたこの胸に貴方が溢れてく

ああ 私の声 あなたに聞こえる?
知らず知らずのうちに問いかけてしまう


ああ 貴方の声 豊かな微笑み
知らず知らずのうちに
引き込まれてく

人恋しさに負けそうな夜は
思い出せない数え唄を
迷い 途切れ 歌いながら
ただあなたが帰るその時まで

窓をたたく雨が静かに雪になる
霙がいてついて想いを閉じ込める









※「恋々の月」にはここで発表されていない
別小説版もあります。


『恋々の月」 ほうづききょうと 詞小説の世界3 
次に 二つの曲の接続性をご覧ください。
では 恋々の月の歌詞と その詞小説を以下に書いてみます。

詞小説は長文に渡るのですが、この女性がこの時この場所で何を思っているのか
少し深い世界に突入しますので、じっくり 読んでみてください。

簡単な背景の解説

『恋々の月』は『君がいないなら』の主人公の男性の相手側の女性の同時刻の出来事を歌った作品です。
歌詞を少し分解して解説を書いてみますが、女性より男性の方が、少しだけ早く窓辺についているようです。
男性はずっと考えを巡らせて、時間を過ごうち、いつの間にか日暮れを迎えてしまったようです。 

その後、夜になってゆく時間経過の中で
二人ともお互いからの連絡を待ちながら夜の窓辺にたどり着く事になります。

男性側では、愛を打ち明けたはずなのに答えが遅かった事で彼女を失ってしまったのかも・・・と思い
女性側では「貴方が待っていて・・・」と言ったはずなのに、いつまで待っても彼が来ない・・・
という やわらかな すれ違いを見せて
二人の世界は、それぞれのいる場所の分だけ心の距離が空いている・・・という様な状態でしょうか・・・。

どうやら、お互いに、「お互いの存在」を あまりに肯定し過ぎて 起こる出来事だったようです。
男性は彼女と一緒に部屋の中にいた時の事を思い出しながら、今、その瞬間には そこに存在しない
彼女を思って悲しんでいます。

女性は女性で 待ってい、さえすれば きっと彼が今すぐにでも迎えに来てくれるはず・・・と思いながら
それを待っている・・・その状況がとても儚く、もどかしくもあって、
それぞれの寂しい気持ちをさらに加速させているようです。

男性の側の歌にも女性の側の歌にも それぞれのエンディングはあえて歌の中でも
詞小説の中でも明確にしていません。
その後のストーリーは どうか皆さんの中で描いてみてください。

作品集で発表済みの「君がいないなら」は音源を載せていません。
(わざとではありません。一度に二曲再生されてしまうから・・・です。)
再生されるのは 未発表の「恋々の月」のみです。

作品集をお持ちの方は 「君がいないなら」を歌詞を参照しつつ、デッキ再生し
その後、「恋々の月」の歌詞を見ながら、このチャンネルで再生されると
よりお楽しみ頂けると思います。

詞小説は 多くのお客様にご理解を得るために 年齢不詳ではありながらも 少し、若年的言葉づかいに
修正して書かせて頂いております。 お読みいただく場合は、ご自身の年齢設定や記憶の中の
共通時代背景を加味して ご覧ください。
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前書き

今回は 作品 「恋々(れんれん)の月」と「君がいないなら」を題材にして その作品の背景や
接続性をご覧頂いて愉しんで頂こうと思っています。出来れば音楽は一旦停止して
全部の解説を眺めたのち、女性側の歌の歌詞を見ながら一度聴いて頂き、
その後、詞小説をご覧になってストーリーを感じて頂き、
また改めて曲を聴いて頂けると よりよくご理解頂けるように思います。
ちなみに、詞小説は文章は長いですが ほぼ、きちんと歌詞本体と接続していますので
じっくり読んで頂けると深い理解が得られ興味のある方には、とても・・・。
そうでもない方にもそれなりに・・・お楽しみ頂ける気がします。
それではどうぞお楽しみください。     
                                作者 ほうづききょうと

「恋々の月」と「君がいないなら」 いかがでしたでしょうか 詳細歌詞版や 詞小説版は
お客様のご支持がある限りは 時々掲載してまいりたく思っております。

もしよろしければ 応援してください。 では また次回の放送でお会いしましょう。


                                 ほうづききょうと でした。
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