影法師 女性の主観 A

とぼとぼ とぼとぼ あなたの後ろをついて歩いている・・・。

結局思った通り 私の切り出したお別れの話に
あなたは強く反応して
あっさりと 私を返してくれるはずもなく
こうして まったく意味の無い時間の中に閉じ込められて
あなたと どこへ行くとも無く、歩き回る羽目になってしまっている・・・。

歩いても、歩いても 新しい答えなんて出るはずないし、
あなたが例え どんな言い訳をしようと
あなたが例え どんなに反省の色を見せようと

もう私の中では とっくの昔に答えは出てしまっているのよね・・・。

いい加減、もうこんな馬鹿馬鹿しい事は止めたいんだけど
あなたが「ゆっくり自分で結論を導き出すまで・・・」
付き合ってあげるのが、最後の私の務めだとも思っているわ・・・。

ねえ・・・
それが淋しい事だってって思わない?
私の心は もう、すっかり あなたから離れてしまっているのに
こうして 残りの愛が溶け落ちてからの この最後の「情」にすがって
あなたが この場にいるっていう事・・・。

私が知っているあなたは
もっと、とっても素敵で 強くて、優しくて
誰からも尊敬された・・・とっても、とっても凄い人だった・・・。

なのに何故・・・
私に愛されなくなったあなたは そんな弱虫になったの?

私は それが一番悲しい・・・

誰よりも強く、優しいあなたを、他の誰よりも知っていただけに
今のあなたのその弱さが・・・私には許せないの・・・。

私の最後の「情」に しがみついて
私の最後の「役目」に すがって生きる・・・

そんなあなたを 私が どう愛せばいいって言うの?

・・・わかるわ・・・。

今、あなたが それどころじゃないって・・・
自分の「生きる甲斐」・・・を失いそうな瞬間だものね・・・
必死になるわよね・・・。

でも、今この瞬間に そんなに必死になれるのなら
もっと随分昔に 必死になってくれてても よかったんじゃない?

必死になるのさえも ためらって・・・
絶対に 私がどこにも行くはずないって、勝手に決め付けて・・・
自分だけが時間とともに 成長して・・・
私だけがなんの成長も無いまま全く同じ場所で
立ち止まって待っているとでも思った?

・・・・。

ほんと・・・平和だ・・・

あなたはホントに平和な人だ・・・

そんなはずないじゃない・・・。
そんなこと ほんとにほんとに あるはず無いよ・・・。


・・・・。

お互いの中に「愛」があった頃は何でもなかったような小さな出来事でさえも、
今は、そのひとつひとつが 二人の心の傷を深めていることは
たぶん貴方も気付いているでしょう? 

なのに・・・
こんなにボロボロの・・・継ぎ接ぎだらけの愛を永らえて

一体そこには何があるっていうの?

・・・・。


貴方のしてきた事・・・

私のしてきたこと・・・

貴方が言えない事・・・

私が知らないふりをしてること・・・



もう、その全部が 
お互いの中では「分かり過ぎる。」ほど
わかってしまっている事じゃない・・・。


『仲が良かったのも昔の事』 『愛があったのも昔のこと』

そうやって全部を過去の事にして
明日からを生きて行けばいいじゃない。


貴方が ためらっている結論は 『今の私への愛』じゃない。

『良かった頃の思い出に しがみついていたい。』
という未練な心や

『二人で紡いだ 愛有る日々』への
悲しい恋慕だったり

『普段は気に掛けもしたことのない「押入れの中の人形」を
今になって誰かに譲り渡したくない。』
っていう 浅はかな所有欲だったり

自分が今まで経験したことの無いような
「激烈な痛み」を感じたくない。
・・・っていう ちっぽけな怖れからなのよ。


お別れしましょう。

まだ微かな愛が残っているうちに。

これ以上 無惨な二人を晒す必要なんてない。



お別れしましょう。

まだ少しの美しい思い出があるうちに・・・。


これから先、いつか 貴方だって分かる時はきっと来るわ。

今なら、まだ間に合うはずよ。

・・・あなたなら きっと大丈夫。

私と お別れしたって
次の誰かと やり直せる時はやってくる・・・

・・・・。

あなたは 誰よりも強くて、優しい人・・・。

私さえいなければ あなたは また強くなれる可能性を
残していると思うの・・・

その形が、あなたに残っているうちに・・・
その形が、これ以上壊れてしまう前に・・・

お別れしましょう・・・。

あなたの事 ほんとに、ほんとに 心から好きだった・・・

だから お別れしましょう。

本当に、本当に好きだったから・・・

お別れしましょう・・・。

私の愛が少しでも残っているうちに・・・。



※ 影法師 女性の主観には 主観Bが存在しています。
   後日アップするか どうかは 決定していませんが
   ここではまず、主観Aだけを掲載させて頂きます。
   

                            著者  ほうづききょうと

あとがき

影法師という題名とメロディーの様子、また
主人公の女性の主観などを書き連ねると、大変重く、辛く、
悲しい物語のように見えますが、
実はその作品の背景にある女性の
「深い愛情」に気付かないではいられません。

最も自分が愛していた頃の男性と
現在の男性の状況の変容に
一番悲しんでいるのは彼女の方だと思います。

僕には
彼女が 「もう自分は付き合いきれない。」
という気持ちから 最後のお別れを切り出した様には見えないのです。

確かに二人を包む現実には
さまざまな出来事や裏切り、心の変遷があった事でしょう・・・

しかし
それを乗り越えた上で

「もっとも良い・・・。」

と思われる選択が

彼・・・には見えなくなってしまっていたところで

彼女・・・が 

「これ以上ない・・・。」という

辛い選択の果てに
お別れを導きだした様に見えてなりません。

男女の中というのは
ひとつところで留まる事は出来ないのは
皆さんもご存じのとおりです。

そんな中で、
「自分の存在」によって
「相手の人生が強烈に変化してしまう事」を

「何よりも悲しい事だ・・・。」と悟った彼女の決断で

今、この瞬間は 辛く悲しい出来事の様に
見えても

ここから半歩たりとも引き返さない・・・という決意のもと
お別れを告げる事が

彼が 彼の人生を もっとも彼らしく生きてくれるように・・・

という 深い愛情と願いが込められた
「命を賭けた最後の決断」・・・の様に思えるのです。






この後の彼と彼女の事は
楽曲の中でも解説の中でも うたってはおりませんが

僕には 彼と彼女の其々が 「それぞれの人生」を

一生懸命に生きている現在が想像されてなりません。




                            著者   ほうづききょうと

                               

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「影法師」 かげぼうし          作詞・曲 ほうづききょうと

頼りなく辿る 貴方の後ろに 影法師が二つ

一つが貴方で 一つが私で ゆらり揺られている

二つ寄り添った影法師を見て 歩き続けてると

こんなにも二人「仲良かったのか・・・。」と 勘違いもする

   貴方とふたり歩いてみて この先も無く 後も無い

   取り立てて話す事も無くなって 

   これからどうして 二人で生きてくの?

絶える事の無い『愛の迷いと懺悔』の裏側で

取り留めもなく ゆらり 揺られ続けてる 貴方と二人



高く舞い上がる明け方の月に 影法師が二つ

一つは貴方で 一つは私で ゆらり揺られている

不思議な気持ちね 哀しい気持ちも 感じ続けてると

「こんなにも二人・・・泣いてばかりね。」と 噴笑いてしまいそうになる

   貴方とふたり生きてみて これからも無く これまでさえ無い

   とっくの昔に全部無くなって

   こんなで どうして 二人で生きてくの?

『堪える事の無い人』の運命と 熱情のその先で

取り留めもなく ゆらり 揺られ続けてた 貴方と二人


   貴方とふたり歩いてみて こっちでも無く 向こうでも無い

   取り敢えず生きる気も無くなって

   これからどこまで 二人で生きてくの?

『耐える事の無い愛』の行方と 迷宮のその中で

取り留めもなく ユラリ・・・ 揺られ続けてる 貴方とふたり・・・















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